エクスペリエンスビジョンが社内にも必要になってきた

もう大企業はできているんだろうな・・・と思いつつ、私が行っている中小企業向けのコンサルティングでのお話し。


エクスペリエンスは、「今までなかった新しい体験」という意味で用いられて、主に利用者視点での製品作りで活用されてきたけど、そろそろ外部だけではなく、内部(つまり会社・組織の中)でも必要になってきたという印象。


これまで、社内のビジョンの共有化は声をかけて、時間をかけてきたのだけど、いよいよそれも伝わりにくくなってきた。 そもそも経営者の考えることが社員に伝わること自体がなかなか難しいことで、やはりそれぞれの価値観があるから伝わりにくい情報があるのも当然と言えば当然。 世間が右肩上がりの時代では、適当にごまかしていてもそれでなんとかなっていたようだ。


ところが昨今、きちんと経営者がビジョンを伝えなければならない時が来てしまった。 経営者だけが空回り・・・という組織も多いのは、このビジョンが共有できていないからこそだと思う。 そもそも会社のビジョンを経営者だけで作ってしまえば、その作る過程を知らない人間はその背景にあることをしっかりと理解することはできない。


響きのよい今年の目標、かっこいい社是、深みのある社訓を掲げて、いくら大声で読み上げてみても、その背景にある物語は見えてこない。 表層的な活字だけ読んでも、それはなかなか入ってこない。 それがよくわかる。 全社一丸と言ってるにも関わらず、今一つ一体感に欠けると感じる社長には是非考えてもらいたい。


これから起こることは当然誰にもわからないけど、経営者ならばどんな時代がくるのかを想像し、それに対処できるように準備する為には、社員全員がどんな時代が来るのかを共有しておかないといけない。 そう、未知なる体験が待ち受けている。


この未知なる体験こそが「今までなかった新しい体験」であり、エクスペリエンスとなる。 そして、それを見据えて構想を作る・・・がビジョン作りであり、これからの企業にエクスペリエンスビジョンが必要だなあと感じた次第。


この先不安だからこそ、是非経営者には取り組んでほしい。
おしまい。